2018/07/ 18 撮影
FUJIFILM  X100F(35mm)
f/ 5.6  ss/ 1/1800  ISO/ 250
クロスカブ110でツーリングしたこの年、北海道は天候不順でなかなか青空に恵まれませんでした。
知床からオホーツクラインを稚内まで北上する途中、オホーツク海から吹く北風が冷たくて、温かいラーメンを食べることばかり考えてカブを走らせていました。
佐呂間を過ぎたあたりで、ふいに青空が広がりジャガイモの薄紫色の花が広大な丘を埋め尽くした、いかにも北海道的な風景が僕の視野いっぱいに広がった。
道端にカブを止め、このつかの間の光りを存分に楽しみながら夢中でシャッターを切りました。
クロスカブで北海道を走っている間、幾度となく既視感を覚え、何度も何度も漠然とした懐かしさのような暖かな感覚が沸き上がってきては、僕の心のセンチメンタルな部分をくすぐっては消えていきました。
今までいろんな所へ行っていろんな風景を眺めてきたけど、こんな感覚に囚われるのは、しかもこんな頻繁に既視感を感じるのは初めてです。
きっと、僕の中の何かがこの土地に深く関わり合いをもっていて、この土地に特別な思いを抱いているのだろうと思う
それは、前世か来世か、
少なくとも、僕が生きてきた人生での関わり合いはありません。
さて、この写真も、そんなデジャヴを意識しながら、この広大なジャガイモの花咲く丘を心行くまで眺め、文字通り心に刻み込む光となりました。
この後、青空は再び雲に覆われ、相変わらず冷たいオホーツクからの北風に追われるように、宗谷を目指してクロスカブを走らせました。

この夏の北海道の旅は、50を過ぎた僕の人生で、今まで経験したことのない感覚に囚われたものでした。
それが何なのかは多分一生かかっても分からないだろうけど、でも僕に残された時間でまたこの土地の心に残る一枚を必ず撮りに来たいと思います。
きっとまたこの北の大地は、僕の懐かしい友のように、デジャヴのようないたずらも込めて迎え入れてくれるような気がしてなりません。


@.ichi

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